ヤメ検・ヤメ判は、特に意味がない。
「ヤメ検」の弁護士(検事を辞めて弁護士になった人)や「ヤメ判」の弁護士(裁判官を辞めて弁護士になった人)が優秀だとか、捜査機関や裁判所に対して影響力があるとかいった噂を、聞いたことがあるかもしれません。
直ちに忘れた方があなたのためです。
「ヤメ検」や「ヤメ判」だからといって、そうでない弁護士よりも優秀だということは、まずありません。
彼らは、辞めるまで弁護士の仕事をしていないのですから、法律家としてのキャリアや年齢と比較すると、弁護士の仕事をわかっていない(経験が浅い)ことがほとんどです。
しかも、これまでの経歴がかえって邪魔になり、新人弁護士として一から学ぼうとする謙虚さを持っていない人がいます。
そういう人は、弁護士になってから何年経っても他の弁護士から学ぼうとしないので、いつまでも変なやり方を続けたり、ベテランのはずなのに新人特有のミスを連発したりします。
経歴を理由に、かつての職場や後輩たちに影響力があるなどということも、ほとんど考えられません。そのようなことを言って自分への依頼を勧めてくる弁護士には、絶対に依頼してはいけません。
検察官や裁判官から見れば、自らその経歴を捨てて弁護士になった人(または、とっくに定年退職した過去の人)なのですから、言うことを聞く義理などないのです。先輩後輩の関係があっても、基本的に同じです。
ここまで言っても、刑事事件に限ってはヤメ検弁護士がいいはずだとか思う人が、まだいるかもしれません。
あなたが特捜部捜査の対象とされた政治家や大企業の社長クラスであるとか、検察主導の特殊な経済事犯の疑いをかけられている場合などであれば、もしかすると、そうかもしれません。
そうでない限り、まず関係ありません。
もし私が、日本で本当に信頼できて実力のある刑事弁護人の名前を10人くらい挙げたとしたら、その中に、ヤメ検・ヤメ判は一人も入らないでしょう。
要は、経歴ではなく、個人の実力の問題です。
例外は、検察官や裁判官を何年、何十年やっていたかに関係なく、たとえ新人の若い弁護士に対してでも、頭を下げて教えを請うことができる人です。めったにおられません。
このような人であれば、かつての経験に弁護士としての新しい経験を加えて、大変な実力を発揮するだろうと思います。
しかし、そのような人を、ホームページで見分けることはできません。そりゃそうですよね?
あえて言えば、ホームページで過去の経歴をやたらと強調する人は、むしろ危険だ、ということになるのです。