民事事件と刑事事件を、分けて考えよう。
法律上の事件は、大ざっぱに言うと、「民事事件」と「刑事事件」に分類できます。
まず、この二つを、何となく区別できるようになりましょう。
わかりやすいのは、刑事事件です。
たとえば、
・これからやろうとしていることは、犯罪になるのか?
・今、警察の捜査を受けていて、逮捕されるかもしれない。
・身内が逮捕された。どうしよう。
・勾留された末に罰金刑になったが、やっぱり納得できない。
・検察官に起訴された。裁判で刑務所に行くことになる?
などの問題です。
刑事事件では、警察や検察が相手方になって、生命・身体・財産に対する国家による刑罰を求めてきます。
刑事事件で不利な結果になった場合のダメージは、計り知れないと言えるでしょう。
これに対して、民事事件は本当に様々です。
とりあえず、刑事事件以外は民事事件だと考えましょう。
たとえば、
・交通事故や名誉毀損などの損害賠償問題
・離婚や相続などの家事事件
・借金問題や貸金債権の回収
・不動産に関する問題
・企業の経営、契約関係、労働問題、税金問題
・公害訴訟、建築差止訴訟
などです。
ほとんどの場合、お金で問題が解決されます。
ただし、家事事件ではお金よりも先に身分関係(離婚するとか)が中心になるなど、お金にとどまらない問題も含まれます。
あとは、民事事件と刑事事件の境界線の問題に注意しましょう。同時に両方が問題になることもあります。
たとえば、オレオレ詐欺の被害を受けてしまった場合、犯人に損害賠償請求をするのは、民事事件の裁判です。犯人が処罰されるかどうかを決めるのは、刑事事件の裁判です。
これはちょっと応用編ですが、警察の違法行為に対して損害賠償請求をする裁判(国家賠償請求)は、民事事件です。刑罰ではなく個人的な賠償を求めていますね。正確に言うと、相手方も警察ではなく国になります。
とりあえず、自分が弁護士に相談したい問題が民事事件と刑事事件のどちらなのかくらいは、わかっておきたいところです。